【感想】五等分の花嫁11巻

漫画

 10巻最後に誕生日のお返しとして修学旅行のアルバムを零奈に渡す風太郎。風太郎は零奈に感謝を伝えます。六年前に零奈と出会えなければ、今も一人だったかもしれない。零奈のおかげで今の自分があると。

 風太郎と別れ、零奈に扮する五月は四葉に告げます。

「ですが…打ち明けるべきです 六年前 本当に会った子はあなただっと」
「ううん これでいいんだよ」

 零奈(写真の子)の正体は誰かこれまで分かりませんでしたが、10巻ラストで四葉であることが確定しました。11巻は四葉の過去編から始まります。以降、ネタバレありですので未読で内容を知りたくない方は回れ右でお願いします。

四葉の思い

四葉の思い(小学生編)

 五等分の花嫁の作中では、五つ子は同じ顔ですが、性格や好みは異なっていました。ですが、六年前の五つ子は顔も性格も好みも全てが同じで、五つ子はそれを大切に思っていました。周りの人が五つ子の誰かと誰かを呼び間違えたとしても、それを褒め言葉だと感じるくらいに。

 京都での修学旅行。四葉は五つ子たちと逸れて迷子になってしまいます。そんな時に出会った少年が風太郎でした。風太郎と楽しく京都を回っていましたが、とっくに夜になっていることに気づきます。四葉はお金を持っていませんし、風太郎は持っていたお金を神社の賽銭箱に入れてしまい、電話で誰かを呼ぶこともできません。途方にくれながらも、いつか自分が立派になって母を楽させてあげたいと語る四葉。そんな四葉に風太郎は感動し、自分も妹のために頑張ることを思いつくのでした。

「私はお母さんのために 風太郎君は妹さんのために 一生懸命勉強しよう!」

 想いが叶うように神社でお願いをする二人、そこを中野父が見つけて保護します。風太郎との出会いを喜ぶ四葉でしたが、風太郎が一花(おそらく四葉と間違えて)と仲良く話している姿を見て、「皆と間違えられたくない」、「みんなとそっくりでいたくない」という思いが芽生えます。ある日、四葉は五つ子のみんなより勉強して一番になっていること、もう一緒じゃないことを母に伝えます。それに対して、中野母は四葉の努力は素晴らしいと認めながらも、親としては五人でいてほしいと伝えるのでした。ほどなくして母は病状が悪化して亡くなってしまいます。

四葉の思い(中学生・高校生転校前編)

 小学生までは見た目も性格も同じでしたが、中学生では五つ子も少しずつ変わっていきます。一花は髪を切ってショートになり、ニ乃はリボンを付け、三玖はヘッドホンをつけるようになり、五月はアホ毛(?)が生えます。

 四葉は五つ子の手本になるように勉強を頑張ります。陸上部の誘いを断り、ゲームもやめます。風太郎とした願い事が叶うよう、賢くなって、たくさんお給料がもらえるように。しかし、努力したにもかかわらず、三玖にテストの点数で負けてしまい、テストの点数が上がらない自分に次第に焦りを感じます。五人でいることが大事という母の言葉がよぎりますが、その真意を伝えてくれる母はもういません。

 高校生では、運動で才能を活かすようになります。陸上やバスケ、野球と多くの運動部を掛け持ちし、部活で成果を残すことで、部活の皆や学校で褒められる。そうすることで、自分は他の五つ子とは違う、自分が一番なんだ、特別なんだと思うようになります。しかし、勉強をおろそかにした四葉は追々試が不合格で落第となり、別の学校に転校することを勧められます。自分がいる意味を必死に作ろうとして、もがいた結果が落第で一人だけの転校。目の前が真っ暗になり、どうしたらいいか分からなくなる四葉でしたが、そんな時に手を差し伸べるのは五つ子の姉妹でした。四葉一人だけを転校させられない、五つ子みんなで転校すると中野父に進言します。四葉はそれをきっかけに自分が特別になることをやめ、皆のために生きることを決めてしまいます。

四葉の思い(再会編)

 転校先の高校で拾ったテストの答案用紙を届ける際に、偶然に風太郎と再会します。一目見ただけで風太郎と気づく四葉でしたが、拾った100点のテスト、食事中も勉強している姿に、頑張ってきた風太郎と自分を比較して、自分が京都で会った女の子だと言い出せなくなってしまいます。

 風太郎が家庭教師となり、一緒に勉強することが楽しみな四葉。このまま勉強を頑張れたら、本当のことを伝えたいと思う四葉ですが、三玖が風太郎に惹かれていることに気づいてしまいます。一花が風太郎のことを覚えていないことを確認する四葉でしたが、キャンプファイヤーの時の一花の心の動きを感じとる四葉。病院でのお見舞いの際に、風太郎が自分のことを覚えていること聞いてしまう四葉でしたが、今の自分は姉妹の皆がいてくれたおかげでいるんだと思い出と自分の想いに蓋をします。思いを断ち切るために、五月に零奈となって会ってくることをお願いします。零奈に扮して風太郎と話す五月の姿を見ると胸が痛むのでした。そして現在へと戻り夏はもう目の前、教室での談笑する中で、五月がそっと四葉に話します。

「本当にこのままでいいのですか?」
「これまで上杉さんと向き合ってきたのは三玖たちだもん 今更私の出る幕はないよ」

夜の公園、ブランコをこぐ四葉はある日のことを思い出します。風太郎が食べ過ぎで横になっていたマンション。なぜ、自分が風太郎の味方をするのかを話し、「好きだから」とからかった日のことを。そんな日のことを思い出し、四葉は一人公園で呟くのでした。

(C)春場ねぎ/『五等分の花嫁 11巻』/講談社/第90話 私とある男子②

感想

 11巻の発売日の9月17日、作者の春場ねぎ先生は、初期から読み続けて来た方にこそ読んでいただきたい話が収録されているとツイートされていました。もちろんその話は四葉の想いに関する話でしょう。

 11巻を読み終えた前後で、四葉に対する読者の想いはかなり揺れ動かされていると思います。それくらい、過去編の物語は切ないものでした。偶然出会った少年に惹かれ、お互いの目標のために頑張ろうと約束し、四葉は頑張りました。努力は報われませんでしたが、五つ子でいる意味を、絆が大切なんだと知りました。しかし、今度は五つ子の絆が風太郎へ踏み込むことを躊躇させます。姉妹を優先し、恋心に蓋をしてしまいます。六年前、誰よりも早く風太郎に出会い、再会するまで一度たりとも忘れていなかった女の子がです。

 11巻を読み終えた後、1巻から五等分の花嫁を読み直しました。風太郎との再会後の四葉の想いを辿るためです。風太郎と再会して作中では1年くらいでしょうか。風太郎の家庭教師の授業に真っ先に参加しようとしたのは四葉でした。林館学校で風太郎に素敵な思い出ができるようにと行動してくれたのも四葉でした。家族旅行で一花が悩んでいるとき、そっと支えてあげたのは四葉でした。修学旅行で三玖の風太郎への告白を手助けしていたのも四葉でした。風太郎や姉妹が大好きで、みんな大事であるが故に自分の気持ちを押し殺してしまう、そんな不器用だけれども優しい女の子でした。

 四葉の想いが報われてほししですが、今のままでは四葉から風太郎にアプローチするのは難しいでしょう。この状況を動かすには、風太郎と姉妹双方からのアプローチで、四葉の考え方を変えさせるイベントが必要です。風太郎は写真の女の子の正体に気づいている節もありますし、姉妹からも四葉が本当にやりたいことを探すように言われていますので、今後このイベントは不可避でしょう。また、四葉の過去から現在までの想いは11巻で語られましたが、まだ五月の想いは語られていないですよね。おそらく一番母に甘えていた五月は、母を亡くして一番のショックを受けたと思います。母の面影を追って、性格や口調も変えて高校生まで成長しています。その優等生の仮面を外す日、外さざる日が来る時に、四葉はどう動くのでしょう。


五等分の花嫁(11) (講談社コミックス) [ 春場 ねぎ ]

五等分の花嫁(10) (講談社コミックス) [ 春場 ねぎ ]

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